初歩からわかるイギリスのEU離脱①(Brexit、首相交代、解散総選挙)

 

 

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このページのQ&A:

・「Brexit」とは何ですか?

・なぜイギリスはEUから離脱するのですか?

・英国各地での投票結果は?

国民投票の後、英国政府はどう変わりましたか?

・メイ首相のEU離脱に対するスタンスは?

・なぜ首相は総選挙をしたのですか?

解散総選挙の結果は?

EU離脱交渉は遅れる?

・もしメイ政権が倒れて労働党が政権を取ったらどうなりますか?

 

 

Brexit」とは何ですか?

Brexit」は「Britain」(イギリス)と「exit」(出口、退場する)をくっつけ「Brexit」とし、「イギリスのEU離脱」を表す言葉である。

かつてギリシャがユーロからの離脱についてもめていたときには、「Greek」(ギリシャ)と「exit」をくっつけて「Grexit」という言葉が使われたこともあった。

 

 

なぜイギリスはヨーロッパ連合(EU)から離脱するのですか?

2016年6月23日に行われた国民投票では、選挙権をもつすべての人たちに投票権が与えられていた。

その結果、「残留」が48.1%に対し「離脱」が51.9%を獲得し、離脱が決定した。

国民投票投票率は71.8%で、3,000万を超す有権者が投票した。

 

 

英国各地での投票結果は?

イングランドでは「離脱:残留」の割合が53.4%:46.6%。

ウェールズでは52.5%:47.5%だった。

一方、スコットランド北アイルランドでは残留が多数を占めた。

スコットランドは「離脱:残留」の割合が38%:62%、北アイルランドでは44.2%:55.8%であった。

 

 

国民投票の後、英国政府はどう変わりましたか?

総理大臣が代わり、テレーザ・メイが新首相となった。

メイ首相はデヴィッド・キャメロン前首相のもとで内務大臣を務めていた。

EU残留を訴えていたキャメロンは国民投票の結果が判明した日に辞任を表明。

キャメロン前首相と同様にメイ首相もEU離脱には反対していたが、EU残留を訴える活動ではあまり目立った役割をしておらず、残留についての熱心な支持者ではなかった。

保守党党首の任命に先立ち、離脱に積極的であった強力なライバルたちが立候補を取り下げたため、公式の党首選挙を経ずに首相に任命されることになった。

 

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メイ首相のEU離脱に対するスタンスは?

テレーザ・メイは国民投票前のキャンペーンではEU離脱反対派であった。

しかし「離脱はイギリス国民が求めているもの」として、現在離脱を推進している。

そして2017年3月29日に、2年間にわたるEU離脱のプロセスをスタートさせた。

 

 

なぜ首相は総選挙をしたのですか?

テレーザ・メイ首相はデヴィッド・キャメロン前首相から政権を引き継いだため、彼女自身が保守党党首として選挙戦を勝ち抜いたわけではない。

新首相として政権を引き継いだときには、EU離脱決定という激変のあとのイギリスには安定した期間が必要だと述べ、解散総選挙の可能性はないと明言。

そして2020年まで次の総選挙を行うつもりはないとしていた。

しかし4月半ばのイースター休暇の直後、前言を撤回し2017年6月8日に解散総選挙を行うと発表、国中を驚かせることになった。

ヨーロッパ各国の元首たちとEU離脱交渉をするにあたり、自分の立場を強くしておく必要がある、というのがその理由である。

メイ首相は、野党(労働党スコットランド国民党など)や貴族院議員たちが、EU離脱交渉の戦略実行を邪魔してくる可能性があると考えていた。

その場合、交渉相手であるEU諸国のリーダーたちに、政府には力がなくイギリスが一つにまとまることができない、と見えてしまうことを恐れたのである。

 

 

解散総選挙の結果は?

メイ首相の賭けは裏目に出てしまい、保守党が単独過半数を得ることはできず、選挙前よりも議席数を減らす結果となった。

つまり、保守党の議員数だけでは議案を庶民院で通過させることができなくなったのである。

そのため、メイ首相は北アイルランドの政党「民主統一党」に協力を仰ぐことになった。

民主統一党は10の議席を持っているため、保守党とあわせて過半数を占めることができる。

民主統一党は長らくEUに対して懐疑的なスタンスを維持してきた政党。

EU離脱の戦略についてはメイ首相と立場を共にし、すでに今までもEU離脱政策に関する投票において首相を支持してきた。

しかしながら、「EUと不利な取引をするのであれば、むしろ取引はしない」というメイ首相の主張については、保守党の議員たちほどの支持はしていない。

EUと取引をしないということは、北アイルランドとEU加盟国であるアイルランド共和国との接点を閉じてしまうことになるからである。

 

メイ首相は総選挙で「保守党をより多くの議席を持つ与党にし、EU離脱交渉を強力に進めるために投票してほしい」と訴えてきた。

しかしメイ首相の力はむしろ弱くなり、離脱交渉についての議決の際には対抗勢力からの反対を受けやすい状態になってしまった。

首相は、安定と確信を提供するために首相を続ける、との意向を表明している。

 

 

EU離脱交渉は遅れる?

遅れることなく、予定通り6月19日にスタートした。

 

 

もしメイ政権が倒れて労働党が政権を取ったらどうなりますか?

それでもEU離脱手続きは進められる。

労働党」党首のジェレミー・コービンは、国民投票を再び行うことはない、と述べている。

一方、国会はEUとの離脱交渉の最終合意については決定的な発言ができる、とも言っており、より良い条件を求めて交渉が再び行われる可能性もある。

 

一方、650議席中12議席を占めている「自由民主党」はいわゆるハード・ブレグジット(hard Brexit、強硬離脱)には反対しており、EU残留に向けてあらためて国民投票を行うことを訴えている政党である。

自由民主党労働党とも保守党とも連立を組むつもりはない、と明言している。

 

スコットランド国民党」のニコラ・スタージョン党首は、イギリスのEU離脱後も、スコットランドのEU単一市場参加など特別な立場を維持できるよう訴えている。

国民投票スコットランドでの結果はEU残留派が多数を占めた。

スタージョン党首はEU離脱交渉が完了する前に、スコットランドの独立について問う住民投票の開催を訴えている。

 

 

 

出典:Brexit: All you need to know about the UK leaving the EU - BBC News