クルーグマン教授「EU離脱が経済を活性化するチャンスはゼロ」

 

 

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ノーベル経済学賞受賞の経済学者ポール・クルーグマン教授は、イギリスのEU離脱が経済を活性化するチャンスはまったくない、と語った。

 

EUを離脱することでイギリス国民がより裕福になる、という一部の意見を否定したものだ。

 

ロンドンで開催されているコンファレンスに出席したクルーグマン教授は、イギリスの新聞「The Independent」とのインタビューに応じた。

 

「ビジネスの現場でEU離脱が有利に働くというチャンスは事実上まったくない。全体的に考えて、EU離脱を評価できるポイントはないと思う」。

 

クルーグマン教授は2008年に「国際貿易パターンの分析に関する貢献」を評価されノーベル経済学賞を受賞。

 

現在はニューヨーク市立大学の経済学部で教鞭をとっており、またしばしば最も影響力のある現役経済学者のトップを占める人物でもある。

 

 

経済学者のあいだで対立する意見 

すでに大多数の経済学者たちがEU離脱はイギリス経済に不利に働くという意見を述べている。

 

その一方でEU離脱を支持する経済学者で構成されたグループ「Economists for Free Trade」は、離脱によりイギリスのGDPは4%まで上昇する可能性がある、と主張している。

 

またデヴィッド・デイヴィスEU離脱担当大臣は、離脱はイギリス経済をより自由にすることになり、その結果アメリカや中国への輸出を促進し、ヨーロッパとの取引減少が補われるだろう、と発言している。

 

しかしクルーグマン教授はこういった仮定を否定。

 

イギリスがEUに加盟した1973年以来、イギリス経済が大きく成長してきたことを表す研究結果があることを示している。

 

貿易摩擦がないというEUメンバーが得られる目には見えない利点が、貿易パターンに大きなインパクトを与えている。イギリスはそれをひっくり返し、コストを発生させるようなことをしているのだ。ほかの場所で大きく儲けようという幻想よりも、EUメンバーであり続けることのほうがよっぽど現実的だ」。

 

クルーグマン教授はEU離脱がもたらす経済的影響はGDPの2%に上る、とみている。

 

「大きな損失ではない。しかし損失には違いない」。

 

ロンドン大学の一部である「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス」が発表した研究結果によると、離脱がもたらす損失は、もしイギリスが自由貿易協定を結ばずにEUを離脱した場合には、GDPの9.5%にまで膨れ上がる可能性があるという。

 

上記の「Economists for Free Trade」の経済学者たちは、もしイギリスがいわゆる “単一自由貿易協定” なるものを採用し輸入関税を撤廃すれば、経済は成長し生活水準は高まる、と主張している。

 

しかしそのような政策は農業や製造業などの分野に大きな混乱をもたらし、国外から安価な輸入品が大量にイギリス国内に流れ込む結果となる。

 

さらに「Economists for Free Trade」が提示している計算には大きな誤りがあることも発見されている。

 

イギリス政府は最終的には単一市場や関税同盟から離脱し、EUとは包括的経済協定を結びたい、としている。

 

一方イギリス通貨ポンドは、EU離脱をめぐる国民投票が行われた時点での対ドルの価値から大きく下落した状態が続いている。

 

 

 

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