初歩からわかるイギリスのEU離脱③(ソフト/ハード・ブレグジット)

 

 

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なぜEU離脱にはこんなに長く時間がかかるのですか?

離脱プロセスでは、今まで43年間にわたり数千におよぶ項目を網羅してきた条約や合意事項を解きほぐしていく必要がある。

この作業は、どうやっても簡単に済む仕事ではない。

また、かつてEUを離脱した国はなく、交渉担当者たちも作業を進めながら離脱プロセスを初めて完成させていこうとしている部分がある。

とくに離脱後の貿易に関する取り決めは、ヨーロッパの30を超える国と地域の国会すべてで全会一致の合意が求められるため、最も難しいものになる。

中にはこの合意のために国民投票を行う国や地域が出てくる可能性もある。

 

 

イギリスとEUとの交渉でとくに焦点となりそうなものは何ですか?

テレーザ・メイ首相はイギリスはEUの単一市場に残る考えはないことを明言している。

しかしながら6月の総選挙の結果、野党労働党議席を増やす結果となり、また与党保守党の議員の一部も反対に回る可能性が出てきたため、単一市場離脱の戦略には疑問がでてきた。

 

労働党は、イギリスは単一市場に残ることで得られる利点を手放すべきではないが、そのためには必ずしもEUに残留する必要もない、と主張している。

単一市場に残るということは、イギリスがヨーロッパ司法裁判所の管轄にとどまることを意味し、またEUからの移民を無制限に受け入れる義務を負うことになる。

 

メイ首相は、イギリスがEU各国と新しい関税同盟に合意することを目指す方針を示している。

「関税同盟」とはお互いの輸出入品に関税は課さないが、同盟外の国からの輸入については共通の関税を課すという合意。

現在イギリスはEUの関税同盟に属しているため、ほかの国と独自の合意を結ぶことはできなくなっている。

 

 

「ソフト・ブレグジット」と「ハード・ブレグジット」の違いは何ですか?

イギリスのEU離脱ブレグジット)についてしばしば使われるこれらの言葉には、実は厳密な定義はない。

しかしイメージとしては離脱後のイギリスとEUとの距離感を表す言葉ととらえることができる。

「ハード・ブレグジット」とは、基本的にはEUの単一市場からの離脱を意味するが、同時にイギリスとEUとのあいだの人の移動についても例外を認めない(EU以外の国と同様の扱いをする)ということも意味する。

一方「ソフト・ブレグジット」とは、イギリスがEUの単一市場のメンバーであり続けると同時に、人々の自由な移動も認める、というもの。

ノルウェーはEU加盟国ではないが、この「ソフト・ブレグジット」と同様のスタイルをとっている。

 

 

もしEUと何の合意もしないで離脱したらどうなりますか?

テレーザ・メイ首相は、好ましくない合意にサインをするよりは、合意などしないまま離脱してしまったほうがいい、と述べている。

貿易取引に関する合意のないまま離脱した場合、イギリスは世界貿易機構(WTO)のルールの下で取引をすることになり、EU諸国との貿易でも税関でのチェックを行うと同時にモノやサービスに関税を課す必要が出てくる。

 

労働党は、合意なしで離脱することはイギリスの選択肢にあるべきではないとし、離脱交渉の最終内容に対して国会から反発が出るだろうと主張している。

しかしこの合意のために再度国民投票を行うことはない、とも述べている。

 

EU加盟国でイギリスと貿易を行っている国が、イギリスと貿易闘争を始めるとは思えない、だから単一市場から離脱しても事実上影響はない、という主張をする人たちもいる。

一方、海外と輸出入の取引をするイギリス企業にとっては、関税の発生はコストの増大を意味する、と単一市場離脱に対して警告を発する人たちもいる。

単一市場へのアクセスがなくなった場合に、イギリスの「金融ハブ」としてのポジションはどう影響を受けるのか、という疑問もある。

加えてEU離脱後のイギリスとアイルランドの国境についても疑問が残されている。

さらには、現在EU各国に住んでいるイギリス人たちは居住権や健康保険へのアクセスを失ってしまうことになる、という問題もある。

 

 

 

Brexit: All you need to know about the UK leaving the EU - BBC News